うめlog

2012年04月

音のない花火
『音のない花火』 砂田麻美 著

ドキュメンタリー映画『エンディングノート』(記事はこちら)にヤラれ、砂田監督に興味をそそられ、
気になっていたこの著書に・・・。

映画(事実)をベースに脚色され、架空の登場人物たちによってまた別の物語になっています。
それでもお父さんのキャラクターが砂田さんそのままのようだったり、
読み進める中のあちこちに映画のシーンを思い出します。
別な物語のようで、繋がっている。
別な世界にも砂田一家が暮らしているような。

言葉の選び方にユーモアも感じます。

ひとつ、
“不幸の比較は生きる力になる”という一節がひっかかりました。

人を救ったり癒したりすることで、
結果的に自分自身が救われたり癒されたりしているのは、間違いなく真実だと思うのですが、
上の一節は、ちょっと迷走しているときの感覚ではないか、と。
どん底の暗闇で迷っている時だからこそ、
そうしたわかりやすい思考が生きる力になると言いたいのかもしれませんが・・・。

もしかしたら、著者はそうした比較をすることで
不幸や悲しみの中から「私はまだやれる」と感じることができたのかもしれませんね。

実は本書で一番グッときたのは、主人公と男友達のやり取りでした。
特に、一夜を過ごした後の表現が、短いながらもとても素敵でした。

イニシエーション・ラブ
『イニシエーション・ラブ』 乾 くるみ 著

もう、何年も前の本で、読んでからずいぶん経ちますが、
先日本屋さんに行ったら、平積みされてて“TV番組で紹介された”と。
で、思い出して今更ながらアップする、という流れデス。

誰にでも経験がありそうな恋愛・青春小説・・・と思って読んでいると
“後半”あたりから「あれ?」「こいつ、もしかして・・・」とあることに気付くのです。
いや、気付かないままラストにむかう人も多いかもしれません。
ラスト数行で決定打を打たれますが、それでもわからない人はもう一度よく読みましょう。
背筋が凍るよ。

ちなみにうちの相方さんは読み終えても
「何がそんなに戦慄?? 」とぼーっとしてたので、説明しました。
ここで説明内容を書くと、未読の方に申し訳ないので。

相方さんも理解の後は「ひえー。。 」と。
連続殺人ミステリーでもないのに、恐ろしい・・・。

内容よりも、構成の巧さに唸る1冊。

映画 『ジョン・カーター』 2012年 アメリカ
アンドリュー・スタントン監督

映画情報→映画『ジョン・カーター』公式サイト
エドガー・ライス・バローズの古典的SF冒険小説『火星のプリンセス』
ディズニー/ピクサーが実写映画化。
監督自身も数々のアニメーション作品で評価されているが、実写は初。
ウォルト・ディズニー生誕110周年記念作品。
また、ピクサーを支えた人物である、スティーブ・ジョブズに捧げられた作品でもある。

同時期に公開されたユニバーサル映画の100周年記念作『バトルシップ』でも
馬鹿っぽいキャラで主演をつとめたテイラー・キッチュがこちらでも主演という・・・。
いったい、何者??な感じの起用ではありませんか?

さて、本国アメリカでは大コケだったらしいけど、私はけっこう楽しめました。
火星にすむ種族も見分けやすいし、サイズ感もよかった。
ウィレム・デフォーがサーク族の皇帝:タルス・タルカスを演じていますが、
ビジュアルはもうほとんどデフォーのそれではなく、ちょっち残念でしたが、
モーション・キャプチャーなんだそうで。・・・良いと思います。いい塩梅だったと思います。

別の星にジャンプしたり地球人とは違う生き物とのあれこれ。
オープニングとラストもすっきり繋がる、わかりやすい娯楽映画でした。
しかも、ブサカワな“イヌ”がいい味だしてて・・・。( また犬か!!)
とっても楽しかったです。

あ、そもそもSF大好き。ファンタジーも冒険も好き。・・・な私ですからね。 甘いです。


『アバター・オブ・マーズ』(2009年)という邦題で
もうひとつこの『火星のプリンセス』の実写映画が出ていたようで。
実は、このタイトルを以前チラ見した際に
「『アバター』の便乗モンか・・・」と、スルーしていたのです。
今になって、ちょっと、観比べてみようかしらと思案中です。

映画タイトルの記事が増えてきたときに、インデックスを作りました。

本のほうも、作っておくことにしました。
とはいっても、コミックも何もかも混ぜこぜ
もっと増えたらジャンルわけもあるかもしれませんが、
・・・いや、多分このままいくでしょう。

たいして多くの本をアップしているわけではないのですが、
以前読んだ本をここにアップしたかどうか、自分で把握するのに便利なので一応。
(増えてからだとおっくうだし・・・ )

そんなわけで、本も映画もタイトルインデックスをおいてみました。
カテゴリの下のほうにあります。

映画 『おとなのけんか』 2011年 仏・独・ポーランド
ロマン・ポランスキー監督

映画情報→映画『おとなのけんか』公式サイト
原題『CARNAGE』
トニー賞演劇部門でも高く評価されたヤスミナ・レザの大ヒット舞台劇を映画化
日本でも『大人は、かく戦えり』というタイトルで舞台が上演された。

このコメディ、『ゴーストライター』(記事はこちら)が記憶に新しいロマン・ポランスキー監督です。

子どものけんかが原因で双方の両親が話し合いの場をもつことに。
この、劇中の“話し合い”の場に、観る人も居合わせるような感覚になる。
ほとんどひとつの室内で繰り広げられる話し合い(バトル)は徐々に修羅場と化すわけで。

これまたなんちゅう傑作なんでしょう。キャストも豪華です。
けんかで怪我を負った子の両親にジョディ・フォスター&ジョン・C・ライリー
怪我をさせてしまった子の両親にケイト・ウィンスレット&クリストフ・ヴァルツ。

きっと大人なら誰もが笑ってしまうでしょうが、
特に子育て経験、なかでも男子小学生の子育て経験があると、いっそうツボでしょう。
笑えるかどうかは、現状によりけりか?やんちゃ盛りが現在進行形だと泣けちゃうかも。
ま、身近な題材ゆえの面白さであることに間違いないでしょう。
その身近で真面目な場面に起こる笑いを、芸達者たちが魅せてくれます。
ヴァルツのこうした“最悪な男っぷり”が、私は大好きです。

コレが舞台だと、室内だけの閉塞感でいっぱいなのかもしれませんが
映画化された本作では、子どもたちのいる外の公園の風通しのよさを感じられ、
なんだかいっそう大人が滑稽に見えました。

ちなみに、我が家にも男子がおりまして、そりゃあもう色々やらかしてきましたから、
この作品、ツボど真ん中です。
もっとたくさんの大人が観るべきだ!!と、声を大にして言いたい。

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