『音のない花火』 砂田麻美 著
ドキュメンタリー映画『エンディングノート』(記事はこちら)にヤラれ、砂田監督に興味をそそられ、
気になっていたこの著書に・・・。
映画(事実)をベースに脚色され、架空の登場人物たちによってまた別の物語になっています。
それでもお父さんのキャラクターが砂田さんそのままのようだったり、
読み進める中のあちこちに映画のシーンを思い出します。
別な物語のようで、繋がっている。
別な世界にも砂田一家が暮らしているような。
言葉の選び方にユーモアも感じます。
ひとつ、
“不幸の比較は生きる力になる”という一節がひっかかりました。
人を救ったり癒したりすることで、
結果的に自分自身が救われたり癒されたりしているのは、間違いなく真実だと思うのですが、
上の一節は、ちょっと迷走しているときの感覚ではないか、と。
どん底の暗闇で迷っている時だからこそ、
そうしたわかりやすい思考が生きる力になると言いたいのかもしれませんが・・・。
もしかしたら、著者はそうした比較をすることで
不幸や悲しみの中から「私はまだやれる」と感じることができたのかもしれませんね。
実は本書で一番グッときたのは、主人公と男友達のやり取りでした。
特に、一夜を過ごした後の表現が、短いながらもとても素敵でした。