うめlog

2012年06月

映画 『別離』 2011年 イラン
アスガー・ファルハディ監督・脚本

映画情報→映画『別離』公式サイト

個人的には前作『彼女が消えた浜辺』よりもずいぶん、面白かった
面白かった、なんて言うとちょっと誤解を生じるか??いや、それに、前作も面白かったし。

イランにおける中流家庭の別離を描く。(そんな、一言で終わらせるようなものでもないけど)
比較的保守的な夫ナデル、先進的思想を持つ妻シミン、11歳の娘テルメー
+同居中のナデルの父(要介護)。
この家族が軸にあり、普遍的な人間ドラマの中に
イランの経済的格差や男女の別による社会的格差、老人介護にまつわる問題、
宗教と信仰などなど、“イランならでは”のものが見え、興味深い
宗教と信仰(深さはそれぞれ)、生活規範は救済にも、またその全く反対のものにもなりうる。

観ていると「イランに残るか、海外に出るか」というイラン人にとっての想いを感じたりもする。

登場人物それぞれが家族を思い、良かれと思って行動するけれど、良い方向にはことは進まない。
決定打になってしまう罪(嘘)が、娘のものであることがとても辛い。
彼女の涙は信仰や両親への思い、思春期の少女の思いなど、
いろいろ混ざっていると思われ、いたたまれなかった。
(ちなみにこの少女テルメーを演じたのは監督の実娘)

個人的には、前作もそうだけれど、今作も、
イランの映画である、ということが面白さのベースにあると思う。
それだけ、この国の現代社会が興味深く見えた、ということでしょう。

驚異のドラム・アート・パフォーマンス。
TAO
 世界的にも評価され、国内ツアーのチケットもきっちり売れている様子。
 そんなTAOが近くにやってきたので、体感しようと出かけました。

 打楽器の振動って、心臓の鼓動にシンクロするね。
 身体の真ん中を掴まれて揺さぶられる感じ。

しかも、ただ太鼓を叩くだけでなく、テーマに沿って高い芸術性をもって表現してくるこの集団・・・。
力強く、妖艶。舞い散る汗まで、まさに、美しいです。
そのうえ、ユーモアも満載。

観客を巻き込んでの手拍子合戦などもあり、会場が一体となって盛り上がりました。
感動する以上に、とても楽しいステージ。

こうした形で和楽器や歌舞伎が世界に知られ、評価され続けるきっかけになるのも、
これはこれで、いいことなんじゃないかと思います。

やー。熱く楽しいステージでした。
やたらかっこいい。こんな集団ですよ。 

『アイデン&ティティ』(2003年)上映&トークショー
みうらじゅん&田口トモロヲ劇場

映画はみうらじゅんの漫画が原作。田口トモロヲ 監督、宮藤官九郎 脚本。
MJとトモロヲさんといえばブロンソンズというユニットなわけですが。
(わからない方は各自検索してください。)
みうらじゅん&田口トモロヲぱねる
 『ブロンソンならこう言うね』のコーナー(人生相談)は、
 どうやら最近はPOPEYEでやってるらしいですよ。
 トーク中にみうらさんが言ってましたから。

 
久々にみた『アイデン&ティティ』がなんだか“愛”の物語で、以前より沁みてきたという・・・。

トークショーは、下ネタの嵐。その他変人のおかしな日々の話ばかりで、楽しくないわけがない。
客席もほとんど満席(女子率高し)で盛り上がり、
「とっとと呑みに行きたいから、終わろうぜ」などと二人が仰るので
泣く泣く幕を下ろすということに。

あー。トモロヲさんのカッコいいことと言ったらもう、悶えます。

ちなみにうちのボンもトモロヲさんが好きで、トークショーの報告をしたら
「なんで連れてってくれないんだよう!!」とぷりぷりなさってました。
まぁ、行っても、ネタが理解できなかったんじゃないかなー。と思いますが。

一応『アイデン&ティティ』の予告を貼りましょう。

映画 『SHAME-シェイム-』 2011年 イギリス
スティーヴ・マックィーン監督

映画情報→映画『SHAME-シェイム-』公式サイト

仕事以外をすべてセックスに費やす男ブランドン(マイケル・ファスベンダー)
セックス中毒としか言いようのない彼だが、
セックスに依存することで彼の生活は均衡を保っている(ように見える)。
ある日、恋愛依存の妹のシシー(キャリー・マリガン)が転がり込んできて、
その“均衡”が破られていく。

・・・SEXシーンは多い。っ言うかほとんどそうしたシーンが続く。
が、エロいとかそういうものではなく、むしろ痛々しく、哀しみに満ちています。
彼にとって、SEXは愛や快楽というより、自傷行為に限りなく近い。(と、感じた。)
そういう意味では、恋愛依存でリストカットを繰り返すシシーと同じだな。

他人との関係が継続できないこの兄妹、はっきりとしたことは語られないけれど、
二人の会話やシシーの歌う『ニューヨーク・ニューヨーク』から、
過去にどんなことがあったのか、どんな想い(哀しみや罪)を抱えているのか、想像できる。

これは、答えのない映画だと思うので、是非、観た人と語り合いたい。
ラストに希望を見るという見解もあるようだけれど、どうでしょうか・・・・。
(ラストの女性は環境が変わって、“遊び”を求めているように見えましたが・・・)

単なるセックス中毒(ストレス過多な環境の人に多いそうです)でも大変でしょうに、
根深い哀しみや罪の意識の上にある自傷に近いとなったら・・・。

もうね、ほんとに哀しい映画でした。
雰囲気的には『シングルマン』(2009年 トム・フォード監督)をちょっと思い出したりもしました。

映画 『ア・ダーティ・シェイム』 2004年 アメリカ
ジョン・ウォーターズ監督

日本劇場未公開作品。
悪趣味の帝王:ジョン・ウォーターズの超下品なコメディ。

ちなみに同監督の『シリアル・ママ』(1994年)は、面白くて好きでした。

本作は、いろんな性癖のセックス中毒な皆さんが、この世をのっとるべく大騒ぎ。
変態救世主が12の使途使徒とともに・・・w。
・・・といっても、直接的な行為の映像はなく、“センスいい下品さ”とも言えちゃいそうな・・・??

個人的には、小学校高学年から中2くらいの男子が
「エロいゾンビがいたらさー。」
なんて、しょーもない妄想をするかのような90分弱。
だって、町中、みんな、脳震とうを起こすとセックス中毒になっちゃうんだもの。

まあ、いろんな変態が登場しますが、大なり小なり人はみな変態ですから。
アホになってしまいましょう。
笑って観てしまえば、アリな1本かと。(再見はしないだろうけど)
でも、「下品なものはうけつけない。げぼ。」というかたは、やめましょう。

ほんとうに、まるでゾンビ映画のような展開だったなぁ。予告を貼っておきます。

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