さて、2016年は劇場鑑賞105本、自宅鑑賞92本と2015年より80本以上少なく、年々鑑賞数が減少しています。
しかし、やはり映画は映画館で観るのが好きだし礼儀だしということで。
心動かされたり、印象的だった映画をいくつか。順位はつけません。
私にしては年内に記事にするなんて随分と早めのまとめになりますが、多分もう年内は観ないので。まぁ、これ以降に観たものは2017年に入れることにします。

【ルーム】
imageレニー・アブラハムソン監督、エマ・ドナヒュー脚本・原作。
ブリー・ラーソンが米アカデミー賞で主演女優賞を獲った本作だけれど、子役の少年と父親役のウィリアム・H・メイシーがとても素晴らしく・・・いや、他も皆キャラクターを魅力的に演じていた。
敢えて省略されているところや見せないところ、わざとサクサクと解決されるシーンなど、見やすく間口は広いが、とてつもなく重く繊細な内容。涙なくしては観られなかった。
でも「よかった!感動!」の涙とは少し違う。そこが魅力。

【エクス・マキナ】
imageアレックス・ガーランド監督・脚本。
『わたしを離さないで』の脚本を務めていたガーランドの今作は、「人間から生まれ人間を超える知性を支配することは可能か、許されるのか。またその存在は支配されることに甘んじるだろうか。」という近未来的、いや、もはや現実となってきた問題に鋭く冷たくそれでいて美しく切り込む。『オートマタ』(ガベ・イバニェス監督・脚本、イギリス・スペイン)とあわせて観るのも面白い。
アリシア・ヴィキャンデルは『リリーのすべて』で助演女優賞を獲ったが、個人的にはこちらのほうを推す。
また、これはくそ親父の娘監禁モノとしてもみられます。親父、クソです。

【裸足の季節】
imageデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督・脚本。カタール・トルコ・ドイツ・フランス映画。
トルコの田舎町の美人姉妹。まさしく自由を奪われた籠の中の乙女たち。
爽やかで眩しいのだけれど、かなりエグくてヘビーな中身。なんとここにもクソなおじさんが登場します。
どうか彼女たちのこの先に陽だまりを、と願う。

【シング・ストリート】
imageジョン・カーニー監督・脚本。
『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』ときて、こちらもハズさないジョン・カーニーさすがです。
音楽映画で兄弟映画。
ハッピーエンドに見えるかもだけどとてもとても哀しい青春映画。
少年たちは皆可愛い。

【ゴーストバスターズ】
imageポール・フェイグ監督・脚本。
ポール・フェイグの作品はいくつか観ていてどれもコメディでかなり面白かった。
ビル・マーレイたちの同タイトルのリブート。
ストーリーは別にアレだが、めちゃくちゃ楽しくて可笑しくて、最高。
クリヘム(=クリス・ヘムズワース)超可愛い。
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マッチョで可愛いといえば『ヘイル、シーザー!』(コーエン兄弟監督・脚本)のチャニング・テイタムも彼だけでも観る価値ありなレベルでキュートだった。

imageあと、キュートといえば『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(デヴィッド・イェーツ監督、J・K・ローリング原作・脚本)は全編通して魔法動物たちが超絶キュートでチャーミングなので今後もシリーズ欠かさずに劇場で観ることを誓う。

【ザ・ギフト】
imageジョエル・エドガートン監督・脚本。
出演作ではだいたい2~3番目にクレジットされることが多いように認識しているエドガートンですが、デキル人ですね。
何でもかんでも見せてしまわず、見せない・語らない部分のせいで観る人によって認識や印象が変わるだろう本作。伏線ひきまくって回収しまくるのもすっきりするけど、個人的にはこういうのが面白いってことだと思う。

マジカル・ガール『マジカル・ガール』(カルロス・ベルムト監督、スペイン)はほんわか魔法少女を装ってこれもまたおそろしくエグい面白い作品でした。
“トカゲ部屋”について語り合うなど、映画仲間の間でかなり盛り上がった1本。
『ブリッジ・オブ・スパイ』(スピルバーグ監督、コーエン兄弟脚本)や『ハドソン川の奇跡』(クリント・イーストウッド監督)は渋くてめちゃかっこいい、素敵なお仕事映画でこれらも私の大好物。
サウスポー『サウスポー』(アントワーン・フークア監督、カート・サッター脚本)は『イコライザー』がなかなか楽しかったフークア監督でしたが、今作もとても熱くて燃える1本でした。ストーリーはベタベタですが、泣きました。ええ、ええ、泣きましたとも。
イット・フォローズホラーではよく分からないものこそが恐怖そのものという真実まんまでかつ青春映画でもあった『イット・フォローズ』(デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督・脚本)と、グッドナイト・マミー映像がけっこう綺麗なのにメンタルがやられトラウマになりそうな救われない話の『グッドナイト・マミー』(セヴェリン・フィアラ監督、オーストリア)が印象に残っています。

【隻眼の虎】
imageパク・フンジョン監督・脚本。
『新しき世界』が最高すぎたフンジョン監督がミンシク兄貴と大虎でまたもややってくれた。
ただの虎対人間じゃないよ。
男と男、親と子の愛に泣いた。
だだしCGの質は物足りない。
大杉漣さんがとっても嫌な奴になってるのと、全体的に日本語がおかしいです。
でも、大虎とミンシク兄貴に泣きますから!


【ヒメアノ~ル】
image吉田恵輔監督、古谷実原作。
タイトルが出るタイミング、天国と地獄のカットバックシーンが最高。
「麦茶ふたつ持ってきて」で号泣。
ただ、未読なので何とも言えないが、おそらく原作からはかなりマイルドなものになっているのではないだろうか。なんちゅうか、間口が広いのだ。個人的には、もっとモンスターの哀しみのような、森田が己のモンスター性に気付く瞬間があってもいいのに、と思った。

【葛城事件】 
葛城事件赤堀雅秋監督・原作。
赤堀監督の舞台版では新井浩文が弟(通り魔)だった。今作では気の小さい兄を好演している。
この中の父親(三浦友和)がどこにでもいそうな理想と家族愛の強い、その愛の向け方をどこかで間違えたのかもしれない男で、その境界がどこなのかがわからない。
そうしてこの父親は胸糞悪いのに哀しみを抱かせる男として記憶に残る。
淵に立つ
邦画では他に『淵に立つ』(深田晃司監督・脚本)も面白かった。そして浅野忠信の不気味さ全開。
怒り『怒り』(李相日監督・脚本、吉田修一原作)ではキャスト全員活きていたけれど、その中でもその自然で完璧な佇まいに妻夫木聡という俳優の素晴らしさを真に実感した。
『セトウツミ』(大森立嗣監督、此元和津也原作)は大森監督ならではなのか、実力のある二人の俳優で魅力的な画面となり、くすくす笑い、ちょっとホロっともさせられた。しかし、菅田くんは最近あちこちひっぱりだこで大忙しですね。

【この世界の片隅に】
この世界の片隅に片渕須直監督、こうの史代原作。
広島・呉に生きたすずさんの日常。
戦争映画だけどラブストーリーでコメディ。“哀しくてやりきれない”のにとにかく愛おしい。
そして服飾についても興味深く見られる。
おそらく虫や戦艦、飛行機など、興味のある人にしたらひとめでわかるような、どこもかしこも細かい描きこみなのだと思う。
アニメーションでこその表現もあり、震えた。そしてやはり愛おしいのひと言。
君の名は。
アニメーションでは『君の名は。』(新海誠監督・脚本)にふれないわけにはいきませんね。こちらも楽曲とストーリーが一体となって揺さぶってくる1本でした。


【湯を沸かすほどの熱い愛】
湯を沸かすほどの熱い愛中野量太監督・脚本。
色々ぶっ飛んでいて「そりゃないわ」の連続なんだが力強くてとにかくまっすぐなので恐らく世間ウケはいいと思う。評価も高くなるでしょう。
だから好きなわけではないが一応取り上げておく


最近は深く考えず笑ったり叫んだり萌えたり出来るようなものが楽しくて、夫婦の在り方や説教じみた戦争ものなどは「はいはい・・・」と興ざめすることが多くなりました。
そういう時は大概作り手が自分より若干若く、そのせいなのか内容に物足りなさを感じてしまうからかもしれません。
「年を取ると子どもに帰る」といいますが、キャッキャとした映画を好むようになってきて、なんだかちょっと分かる気がします。

うわー、『シン・ゴジラ』(庵野秀明監督・脚本)に全くふれてませんでしたー!!
ごめんなさーい。私的にはかなり笑いました。
そしてゴジラの進化にワクワクしました。蒲田くん超可愛いよね。